詩人の夫は自分のことを「詩書き」という。
私は詩書きの人のそばで自分の夢を1つ1つゆっくり叶えていっている。
マーブルに動いていた世界が夢色の光で整えられていく。
初対面の日に。知り合ったその日から私たちは2人の時間を軸に生き始めていた。夫がどんな人かを知る前に、私は夫からもらった1通目のメールでいままで接してきたどんな人間とも違うと感じ取っていた。夫との出会いで私の人生がすべて逆さになったように変わり始めた。 夫に出会う3か月前に、私は自分の家から見える海を見ながら、そのうえに浮かぶように現れた新年の太陽を見て、何かとてつもないことが起こると確信していた。それは夫との出会いだったのだ。 夫は私に新しい人生をもたらし、生々しいほど強い生命力を私に吹き込んでくれたのだった。 |
花とは?太陽とは?よろこびとは?詩画展で見た夫の詩付き合い始めて1か月くらいの時に、夫から詩画展で作品を出しているから見ておいで、と言われて、夫に会えないある日の日中に1人で観に行った。 詩画展では、ある一枚の絵に対して夫の詩が一遍つづられていた。 誰もいない静まり返った会場で、夫の詩の最後のところ「-君へ」を読んで私は悲しくなって、夫にメールをした。「悲しくなったので去りました」。夫から「ご来場ありがとうございました」と怒ったメールの返事が来て、私はどうしてだろうと?悲しい思いを抱いていた。だいぶ後になって、あの「君へ」は、私のことを言っていたのだと教えてもらった。まさか自分のことを言っていたとは思いもしなかったので、呆れながら驚いてしまった。 |
夢の1つを叶えて山下公園で恋人と散歩恋人時代に夫は仕事でどんなに疲れていても私が待っている場所にやってきて、歩くのが大好きな私に合わせて何時間も一緒に歩いてくれた。 夫と知り合う前に私が1人で関内駅に向かい、今はなくなってしまった馬車道通りのサンマルクカフェで1人珈琲を飲んでは日記を書き続け、その後歩いて山下公園に行って歩いていた。山下公園を歩きながら、いつかここを恋人と一緒に歩いてみたいな、と静かに夢を見続けていた。 夫と知り合ってから結婚するまでの短い恋人時代に、私たちは何度となく山下公園や桜木町を歩き回っては、夫は詩の世界への夢や詩に対する思いを語り、私は自分の心の世界を語り、いつまでも日が暮れるまでベンチに座って話し続けた。 |
私たちが手をつないで生きていくことを誓った日。
2人の歩み始めの日に、空は美しい表情で微笑んでくれていた。
ウェディングブーケ。とてもやわらかい色合いで、自分の幸せの姿に感じていた。
ブーケを手にして、こういう感じの女性になりたい、なんて思ったっけ。
結婚式前日と翌日は天気が悪くなったけれど、当日は快晴になってくれた。
いろいろな思いがわき出て、涙が止まらなかったのに、夫婦2人並んで讃美歌を歌った時に、
隣で夫がすごい音程を外して歌っているのが聴こえてきて、泣いていたのに笑い出してしまった。
楽しい思い出になっている。
人生で最愛の人。
死んでもまたこの人と一緒になりたい。
引っ越して二人で生活を始めたときは夏だった。
家の近くでのびのびとした思いの中撮った写真。
ここで2人の人生が始まりだしたんだ。
地元の駅周辺。夜の始まりに若さと新鮮さを備えた表情を見せる。
横浜や東京とは違って、ここは甘い鮮度があるんだ。
秋田の詩人たちのイベントが行われるということで、
飛行機に乗って参加してきた。自然の多さに圧倒された。
2人で生活を始めて1年半が過ぎる頃、自分たちの家を買った。
生活は新しく生まれ変わり、2人で見つけた日常が始まって行った。
日常には自然が多くなり、日の差し込みも増え、風が空気を運んでくる。
夜になると2人で近くの喫茶店に行って話し込むことを楽しむときもある。
自分たちの時間と空間を自分たちの夢や思いで形作って行った。
小さな幸せを大切にしたい思いを大事に大事に育てていっている。